用語解説

デファクトスタンダードとデジュールスタンダードの違い

ツカリくん

デファクトスタンダードとデジュールスタンダードってどんな違いがあるの?

おひょう研究員

この2つの単語を知らない方が大半だと思うので、簡単に解説します!

今回はデファクトスタンダードとデジュールスタンダードの違いについて、EXコイン(EXC)と開発者の思惑を絡めながら解説していきます。

デファクトスタンダードとは?

デファクトスタンダードはラテン語で「事実上の」を意味するde factoとstandard(標準)を組み合わせた言葉で「事実上の標準」を意味します。

簡単に説明すると「公的な機関で標準と定められたものではないが、世間一般に認められたことによって標準になったもの」です。

ツカリくん

いまいちわからないから、もう少し詳しく説明して〜

おひょう研究員

例を交えて説明しますね!

デファクトスタンダードの代表例はパソコンのOS(オペレーティングシステム)であるWindowsです。OS市場が立ち上がった当初は、様々な会社が作った複数のOSが乱立していました(Windows、macOS、Linuxなど)。

市場競争が繰り広げられる中で、Microsoft社はWindowsを他社製品との互換性を持たせます。さらにはWindowsとセットでOfficeソフト(WordやExcelなど)を企業に売り込んだことで、WindowsがOS市場の大半(世界シェア約90%)を占めるようになります。

この結果、Windowsは公的な認証がないにもかかわらず、事実上、業界の標準として認められるようになりました。企業にとってデファクトスタンダードを獲得することは、市場競争を制した結果といえます。

おひょう研究員

デファクトスタンダードという言葉が出たら「公的には標準と定められていないけど、みんなの中で標準扱いされているもの」と考えてください。

デジュールスタンダードとは?

デジュールスタンダードはラテン語で「法律上の」を意味するde jureとstandard(標準)を組み合わせた言葉で「公的な標準」を意味し、デファクトスタンダードの対義語にあたります。

これを簡単に説明すると、公的機関(ISO、JIS、IEEE)が定めた標準のことです。デジュールスタンダードの代表例としては、乾電池が挙げられます。

乾電池は国際標準化機関や企業、団体、専門家が議論して規格を定めたものです。そのため、単3電池が必要な製品にどこの国のどこの企業の単3電池を入れても使えます。

このように規格を定めて、みんながそれに従う事によって世の中が便利になることを目指すように標準化されたものをデジュールスタンダードと呼んでいます。

EXコインはどちらを目指しているか?

ツカリくん

EXコインはデジュールスタンダードとデファクトスタンダード、どちらを目指しているの?

おひょう研究員

結論から言えば、EXコインはデジュールスタンダードを目指しています!

EXコイン(EXCプラットフォーム)開発者のひとりである日下部進さんは、過去にSONYでFeliCaを開発し、ICカードとして国際規格を取得すること(デジュールスタンダード)を目指しました。

しかし、当時のFeliCaはSONYにしか作れないほど技術的に高度であったため、他国の承認を得られずに、ICカードとして国際規格を取得できなかったという苦い思い出があります。

そのときの反省を活かして、GVE社ではデジュールスタンダードを目指した戦略を展開しています。具体的な戦略としては、オンラインデジタル通貨プラットフォームとしての国際特許を世界で取った上で、国際的な標準化機関であるISO/IECによって国際規格として定められることを目指してきました。

通常、国際規格を取る場合には議論を経て、規格が発行されるまで5年〜10年ほどかかります。しかし、GVE社のシステムは世界のハイテク企業らの支持を得たことで、短期間でISO24643として国際規格化されました。

つまり、今後各国が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を推し進め、通貨・決済プラットフォームを導入する際は、ISO24643に準じたものを採用する必要があるといえます。

ここまでで、GVE社の市場戦略の素晴らしさに気づけた方は鋭いです。先ほど、GVEは国際特許を取ってから国際規格を目指したとお伝えしました。

この順番が意味することは、GVE社がすでに国際規格ISO24643の核となる考え方や技術を国際特許として取っており、さらに技術的にも非常に高い参入障壁があるため、今後のオンラインデジタル通貨プラットフォーム市場では、GVE社一強となる可能性が高いということです。

EXCが中央銀行デジタル通貨(CBDC)の活用事例として紹介される

2021年8月に、国際的な標準化団体であるEcma InternationalECMA-417の中で、GVEが開発した中央銀行デジタル通貨(CBDC)を活用事例として発表しました。

これによって、他国の政府が国際規格に沿った中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発を検討する場合には、最初にGVE社が候補に上がるようになりました。

まとめ

GVE社はオンラインデジタル通貨プラットフォーム市場を勝ち抜くための戦略を立てて短期間で実行し、国際規格化され、現在では世界基準となりつつあります。

今後、技術の進歩に伴って、様々な企業がオンラインデジタル通貨プラットフォーム市場に参入してくると思います。しかし、そのときにはGVE社ははるか先を歩いていることでしょう。

参考本

フェリカの真実:電子マネーからデジタル通貨ヘ

SONYによるFeliCaの開発秘話からEXCの開発経緯までが書かれている本です。EXCに興味をもった方は読んでおくと、より理解が深まると思います。登場人物は主にFeliCaの開発者である日下部進さんですが、後半のEXC事業の話では房広治さんも登場します。

週刊エコノミスト:欧州発世界不況

はじめてEXCを掲載した経済専門の週刊誌です。EXCの特集の前に、似た思想を持っていたリブラについても書かれているので、比較のためにそちらも読んでおくと良いでしょう。

デジタルマネー戦争

EXCの開発者のひとりである房広治さんと、日本で唯一のルール形成戦略機関の研究者で大学教授の徳岡晃一郎さんが、今の世界で起きている「お金のデジタル化」をめぐるテクノロジーの最新動向と、日本企業やビジネスパーソンがグローバルなビジネス環境で戦うために必要な考え方ととるべき戦略を公開しています。もちろんEXCについても言及されています。

おひょう研究員

3冊ともEXCについて書かれているのでチェックしておいて損はないです!